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日中間のManagementで役立つ例を日本語と中国語で紹介
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ヤフー、最長1年の休暇導入へ 無給で過ごし方自由
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2901M_Z20C13A4TJC000/

僕は新しい働き方のカタチとして、自社でも取り入れていきたいですね。

2年ぐらい前に、社員旅行の宴会で行うゲームの為、
会社の中国人スタッフに「今欲しいものは何ですか?」という
アンケートをとった事があります。


このゲーム他にも「好きな歌手は?」とか「好きなスポーツは?」
などの質問を書いて、これを順番に読み上げる事で
「誰が書いたものなのか?」を当てるというゲームです。


社員同士のコミュニケーションが一番とれていて、皆の事を
良く知っている人が優勝できるというのが、ゲームの肝です。


さらに、このアンケートによってスタッフの嗜好や欲しいものを
知りたいという、経営側としてもスタッフの今がわかる良いアンケート
だっと思います(自画自賛w)


そんなアンケートの中で行った「今欲しいものは何ですか?」という
質問。実はこれ私の質問の仕方が悪く、結果として一番多かったのが
「お金」という回答でした(苦笑)


それでも、「Mac book」や「車」「家」「デジタルカメラ」など
具体的な商品をあげてくれる人が多かったのが印象的でした。
まだまだ「欲しいモノ」がいっぱいある!中国の人達を見ていて
そんなことを思いました。


一方、日本で同じアンケートをしたら、どんな結果になるのかな?
と考えてみました。


無論、日本でも「お金」が一番になるのでしょうf(^^;)
が、同時に
「お休み」「家族との時間」「余裕」「恋人」等・・・
このような「モノや商品」というより、「抽象的な事」に対する
回答が増えるのかな?
なんて想像したのですが、どうでしょうか?


そんな人の要望に対して、Yahoo!Japanがお金ではない、時間を
社員に使ってもらおう!
会社が個人の時間を拘束してしまうのを、緩めましょう♪


とまぁこんなロジックでこの休暇制度を採用した


のであれば、実に簡単なのですが、実際はもっと複雑なのかな?
と思ったのです。

結論から書くと、日本企業が
「お客様は神様」から「社員第一主義」へ変換しつつあるのでは?
という仮説です。


企業で働く私たちはずっと「お客様の満足」の為頑張ってきました。
(もちろん今もがんばってますよ ~(=^‥^)ゞ)
「顧客の要求には応えるもの」という事を徹底的に追及してきた事で
我々の製品品質は日々良くなっています。


しかし、一方で顧客の「要求と我儘の境界線」が曖昧となり、
多くのスタッフがお客の我儘によって精神的苦痛を味わう状況が生まれ
てしまいました。


いわゆる「顧客第一主義なんだから、顧客は何言ったっていいでしょ」
的なクレーマー文化です。
それにより、スタッフが疲弊してしまうという事が起こりました。


弊社では「クレーム方針」というもので、「クレーム」を定義しています。

「お客様の親切な意思表示」という定義です。

商品やサービスに対する不満をわざわざ自分自身が怒ってまで伝えて
くれるお客さんは、とっても親切なので大切にします。
という意味が込められています。


しかし、一方でこの言葉を隠れ蓑にして、自分自身の満たされない欲求
をクレームのカタチでぶつけようとする「悪意のクレーマー」が誕生して
しまいました。


この「悪意のクレーマー」と「親切なクレーム」との境界線が曖昧であり
「悪意のクレーマー」の定義を正しく行ってこなかった為、大切な
スタッフの心が傷ついているにも関わらず、それを守ることができなかった
という事態が発生しました。


「品質が悪い!」「使い方がわからない!」「壊れた!」等・・・
以前のクレームは商品に関するものが中心でした。


この手のクレームは返品に応じたり、新品と交換したり、正しい
使い方を丁寧に説明することで、逆にその対応を評価して頂くことも
できました。
ですから、クレームを受け付ける人も精神的なダメージが少なかったと
思います。


しかし現代は、商品そのものに対するクレームではなく、
「自分を大切に扱ってくれなかった」という理不尽なクレームが多く
なってきました。「お客様の親切な意思表示」という定義では到底カバー
できない無茶な要求に対して、スタッフは対応しなければならなくなり
スタッフの心のダメージが増大したのです。


「自分を大切に扱ってほしい」というお客さんは怒りの原因が商品そのもの
には無い為、「マニュアル」にある対応をしてしまったら、逆効果・・・
増幅された怒りは「電話相談窓口」や「営業や販売員」へ。
この時は、相手を傷つける事が、目的となっている為、本当に酷い言葉
が使用されます。


厄介なのは、その怒りの根本が、商品そのものにあるのではなく、
全く商品とは関係ないモノから引き起こされている事が多いのが、
特徴だと思います。


例えば、年配の男性が若い女性にクレームを言う場合、自分の娘に対して
日頃抱いているわだかまりを転嫁してぶつけてしまうなどです。
逆に年配の女性では旦那さんに抱いている怒りをぶつける事もあるそうです。
もちろん怒りの当人はそんなこと意識もしていません・・・(涙)


このように、ある意味言いがかりに近いクレームを受ける人間は、
どうしてもフラストレーションが溜まり、受け答えするスタッフ自身にも
怒りのエネルギーが蓄積されます。


その怒りは、次に社内の内勤スタッフや財務など顧客と直接接する事の
少ない部門の人間に向かいます。


それができない立場の場合、自分の家族に向かうことが多くなります。


「お客と直接顔合わさない間接部門はいいよな・・・」
「私はこんな苦労しているのだから、あなたも少しはその苦労を味わえ」


顧客から生まれた怒りが、連鎖する瞬間です。


自分自身も一歩会社を出れば、一消費者。他の企業にとっての「顧客」
であり、社内で蓄積された怒りが引き金になって自分自身が無意識の内に
悪意のクレーマーになっている事も・・・
まさに負の連鎖


この断ち切れない「怒りの連鎖」・・・
本来、お客さんに「助かったよ、ありがとう」と言ってもらう事が企業
の存在価値であり、スタッフもそれを実現する為にチカラを合わすことが
必要です。
しかし、その価値を提供する側が「怒り」の状態にあり、心に余裕が無け
れば、本当に喜ばれる商品やサービスを届けられるわけがありません。


企業が再度この原点に還り、顧客満足を得る為の「社員第一主義」回帰
を図っているのではないか?

無給だとしても、時間的な余裕を得て、社内という狭い空間から解き放たれ、
新しい空気や価値観に出逢い、心の平穏を得る事が、結果的に企業が提供
する価値にも良い結果が出ると考えた上での導入なのかな?


そんな事を思ったのです。
最初は社員も会社も不安があるでしょうが、やってみると意外と良い結果
が出るのでは?と思っています。


と言うのも、無給とは言え大事なスタッフが長期間職場を離れるのですから、
その間他の人がその仕事の穴を埋めなければなりません。

今まで「この仕事は自分じゃないとできない」と言っていた人でも、
休みを取りたかったら、なんとしても「他の人もできる仕組み」を
創りださなければ、休みたくても休めません。


結果として、自分以外の人に仕事を任せる為に、マニュアルを自作したり
自分がどんな仕事をしているかを、仲間に伝える必要があるので、
個人に蓄積されていたノウハウが、会社に溜まるようになるでしょう。
(これは、わが社でも導入済みなので、間違いありません)


個人スキルが重要なウェイトを占める企業には、導入難しいかもしれませんが、
チームで仕事を行う企業には、この「最長1年」という一見無茶な休暇制度が
逆に企業のチーム力を強化する仕組みとして機能するかもしれません。


そして、企業内という狭い空間から解き放たれて、リフレッシュする事で
心の余裕が生まれ、新たな価値を生み出す源泉となれば、きっと良い制度
となることでしょう。


もちろん実際導入するには、様々な困難や、難しい課題が出てくるように
思いますが、それを乗り越えることで、得られるモノもきっと多いと思います。


心理は常識の裏側に隠れている


そんな事をこの記事から感じました。


注:文中の「お客様は神様」の表現は、三波春夫氏の「お客様は神様です」
 を曲解したものを皮肉って使用したもので、氏の真意は下記のように
 まったく異なることご注意ください。
http://www.minamiharuo.jp/profile/index2.html
「お客様は神様です」の真意
「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、
心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。
ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。
また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。
だからお客様は絶対者、神様なのです」
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